看護師がお礼奉公中に辞めたい時の方法！返済ルールや手段、過去の裁判事例など

この記事は、下記のような
お悩みを持つ方に寄り添う内容となります。

本記事では、看護師のお礼奉公とは、
奨学金の返済ルール、お礼奉公期間中に辞めたいときの解決策、

どうしても辞めたいときの返済手段、
お礼奉公に多い疑問などをご紹介いたします。

看護師のお礼奉公とは

看護師のお礼奉公をざっくり説明すると

「看護学校時代に奨学金を受ける代わりとして、
奨学金を支給してくれた病院に数年間（3～5年）勤務すること」です。

お礼奉公＝奨学金ではなく、奨学金にも種類があります。

一般的な奨学金はお金を貸与される、
つまり借金をしている状態になります。

一方で看護学生や准看学生のお礼奉公は
条件を満たせば返済が免除される制度です。

日本でいう奨学金は特別な場合を除くと
有担保貸与奨学金（単なる貸付金）といい

上記表の「一般的な奨学金」に該当します。

看護師のお礼奉公は
奨学金を受ける代わりとして

複数年間、支給してくれた病院で働くことで
返済が免除される上記表の「お礼奉公の奨学金」に該当します。

お礼奉公の代表的な例を挙げると

「病院付属の看護学校に進学をし、毎月5万円の奨学金を受け取る。卒業後、付属病院で3年間勤務する」という形になります。

お礼奉公は、看護学校進学と同時に
卒業後の就職先まで決定しているため就活すらする必要がないともいえます。

ただし、必ずしもメリットばかりではないのが
お礼奉公が問題視される所以です。

例えば、卒業後に入職した病院が

だったら「誰もが辞めたい」となるでしょう。

辞めたいけど「お礼奉公もあるから辞められない」という心理状態になるため、
辞めたくても辞められないというデメリットもあります。

しかし、お礼奉公中であっても、辞めることは出来ます。

次からお礼奉公の返済ルールや辞めたい時の方法を紹介します。

奨学金の返済ルール

奨学金には返済のルールがあるため
借りる前には必ず確認をしておきましょう。

新卒であれば一般的に初任給が夜勤手当込で
25～30万円になりますので、生活費を考慮して返済できるか判断をしましょう。

日本育英会などの奨学金の返済ルール

毎月●円（借りた額により変わる）という定額を支払います。

大きな負担ではなく毎月1～2万円程度になることが多いです。

病院のお礼奉公の返済ルール

全額免除（支給してくれた病院で複数年働く必要あり）です。

ただし、病院のお礼奉公はあくまで”免除”ですから
返さなくて良いというのは間違いです。

そのため看護学生であれば、

などお礼奉公の前に
看護学校を辞めたくなった場合は返済の義務があります。

社会人になると辞めたいと思うことは多いでしょう。

など辞めたい理由に関わらず返済をする必要が出てきます。

新卒で入職した初年度は悩むことも多いため
辞めたいと思う人の割合が多くなります。

出来れば3年ぐらいは同じ職場で働いて欲しいと思いますが、

どうしようもないケースもあるでしょう。

ただし、学生の場合は返済義務が生じますが、
既に働いている看護師さんは

”働いた年数”によって返済額が少なくなったり、
そもそも返さなくいいとなるケースもあります。

掲示板などでは「お礼奉公期間で辞められない」という
投稿がされていますが、辞めることはできます。

もしも辞めることが許されないなら
お礼奉公を盾に強制労働をしていることになってしまいます。

奴隷契約と同じですので
違反すると法律（労働法）の中で最も厳しい処罰がくだされます。

ちなみに労働契約上3年を超えての契約は出来ません（労働基準法14条）ので、

借りたお金を返済すれば辞めることはできます。

そもそも職業選択の自由は憲法で保証されています。
しかし、もめるケースも多く裁判になっているケースもありますので、

過去の裁判例も記事の後半に紹介いたします。

お礼奉公期間中に辞めたいときの解決策

辞めたいのであれば返済をすることで辞めることは出来ます。ただ返済内容には注意が必要です。

という二つのことです。まずはお礼奉公の契約書を確認してください。

一括返済を分割にできるの？

ほとんどの病院は一括返済を求めてきます。

新卒であれば給料も多いわけではないため一括返済ができる額ではありません。病院側も辞めさせないための防衛策として一括返済としています。

ただし、契約書に分割可能としているにも関わらず一括返済を求めてくるなら交渉で分割返済ができます。その場合に頑なに一括返済を求めてくるなら所轄の労働基準監督署に相談をしましょう。

働いている期間があるのに全額請求をされるけど減額できる？

常識のある病院なら残債を請求するはずですが、悪質な病院になると働いている期間があるにも関わらず全額を求めてくることがあります。

1～2ヶ月の短期間で辞めるなら金額に大きな違いはでませんが、これが6ヶ月、1年ともなると相当な差がうまれます。

実際に金額に関しては過去に裁判例があるので参考になります。ざっくりいうと既に勤務している期間があるなら減額もしくは返済不要となります。

看護師のお礼奉公の裁判例

裁判になるときは約束をした勤務期間内にやめてしまうケースで起こります。実際に東京地裁では平成7年12月26日に看護師のお礼奉公に関する裁判がありました。

上記の裁判では「お礼奉公は無効」とされていますが、交わした契約や勤務機関によって判決は変わります。

一般的には3年以上勤務をすれば免除となることが多いようですが、状況にもよるためご自身の状況と照らしあわせて弁護士に相談をすべきといえるでしょう。

看護師の掲示板では素人判断でコメントをすることもあるので要注意です。やはりこういったケースでは専門家に聞くといいです。

お礼奉公については「河原崎法律事務所」のホームページにある「お礼奉公は有効ですか」のページが役立ちますので参考にしてみてください。

どうしても辞めたいときの返済手段

どうしても辞めたい、辞めるしかない事情があるときには、以下の方法を検討してみてください。

尚、1ヶ月以上の勤務実績があるにも関わらず全額一括返済を求めてくるなら、まずは返済額を減らすように交渉が必要です。

返済額を肩代わりしてくれる病院への転職をする

最もおすすめの方法です。

第二新卒を採用している病院の中には奨学金の返済を肩代わりしてくれる病院があります。

数は多くないですし、おおっぴらに「立替返済をしています」という宣言している病院はありませんが、実際に返済を立て替えてくれる病院もあります。

求人サイトなどで相談をする肩代わりしてくれる病院がみつけやすいです。あくまで「立替」ですから毎月の分割払いをする必要（もしくは給与からの天引き）がありますが、負担の少ない金額になるため生活に困るようなことはないでしょう。

転職活動をしながら返済の肩代わり先も探せるので一石二鳥といえます。返済の残債があるにも関わらず今の勤務先を辞めてから次の職を探すために転職活動を開始したのでは遅すぎるため最善策といえます。

知り合いに立替返済をしてもらう

次におすすめしたいのはご両親や知り合いに借りて立替返済をしてもら方法です。

借りるのは気が引けるでしょうが、理由が理由なだけに毎月返済をすれば相手も理解を示してくれるはずです。

金融機関から借りる

あまりおすすめはしたくありませんが銀行などから借りるという方法もあります。ただ社会人経験が少ない新人ナースはそもそも借り入れることは難しいかもしれません。

なお、アコムやプロミスなど消費者金融会社は金利が高いためおすすめしません。肩代わり以外の方法になると辞表を提出してから転職活動をすることになります。

そのため短期間で職をみつける必要があることも意識しておきましょう。

返済額を貯める

最後はあまり現実的ではありませんが、耐えられるというのであれば、しばらく節制をして貯金をするしかありません。

お礼奉公に多い疑問

以下に看護師のお礼奉公に多い疑問への対処方法や解説をしています。

もしも国試（国家試験）で落ちたらどうなる？

お礼奉公の奨学金を狩りて国家試験に落ちると返済義務が生じる可能性が高いです。

つまり国試に落ちると奨学金の返済に加えて就職も白紙となります。そのため是が非でも試験に受からなければなりません。

病院によっては看護助手として1年間働いて翌年に再挑戦をさせてくれる病院もあります。

お礼奉公期間中に産休や育休はとれる？

まずは契約書を確認してください。一般的には育児休暇や産前産後休暇をのぞいた3年間になっているところが多いです。

産休は母体の健康のためにも取得しなければなりませんが、育休については注意が必要です。

働く病院によっては取得することで周囲との関係性が悪くなることもあるため病棟の雰囲気によっては時短勤務を検討するなど考慮しましょう。

リストラをされたらどうなる？

リストラ（懲戒解雇）になると返済義務が生じる可能性が高いです。リストラは病院に問題があったのではなく、あなた自身に問題がある場合にしか行使できません。

妥当性のあるリストラであれば返済義務はあるでしょう。

まとめ

本記事では下記の内容を紹介しました。

今回ご紹介させていただいた
求人・転職サイトであれば、

条件の良い求人も豊富にありますので、
ぜひ参考にお役立ていただけますと幸いです。